ある17歳における不明瞭な愛についての考察
うーん、と千往は考え込んでいる。その顔がいつになく真面目なもんだから、頬が緩んだ。
「背比べ…は、勝負になんねーもんな」
「それはもうしないもん。
あたし、なんでその時の勝負、背比べにしたんだろ」
問題の背比べ勝負は、つい三日前の昼休みの話だ。
今日の勝負は背比べ!と、千往が高らかに宣言した後、数秒。
俺はもちろん、言ってから気付いたのか、言い出しっぺの千往までもが口をぽかんと開けたまま固まった。
俺、173cm。
千往、たぶん160cmもない。
……どう考えても勝負にならない。
「…背比べ?」
俺は込み上げる笑いをこらえて千往に聞き返す。
「…せ…せいくらべ!」
頑としてそう言い放つ千往。