ある17歳における不明瞭な愛についての考察
結局その勝負は俺の勝ちで、千往はというと、今までで一番すんなりと負けを認めた。
余韻が後を引いていたんだろう。俺はずっと笑いをこらえて明らかに悔しそうな千往を見ていた。
「…ばかだなあ」
思わずついて出た言葉に、千往は右手でグーを作って俺の腕を「ぺし!」と叩く。
その、あまりにも間抜けな衝撃に、こらえていた笑いが弾けとんだ。
「全っ…然、痛くねえし!」
来い!と俺が両手を広げると、千往は威力のないパンチを格闘家のトレーニングの要領で手のひらに当て始める。
その顔がすごく楽しげで、なんだか今でも忘れられなくて。
少し拗ねたような照れ笑いが見たくて、ついつい「背比べ」をネタにからかってしまう。
もちろん、
理由はわからない。
わからない。