あたしの俺様執事様。
歩いて学園へ向かう。
いつもならリムジンが
嫌って思うけれど
今日はものすごく乗りたい
リムジンに乗って
はやく学園に着きたい。
そんなことを考えながら
あたしと夢花拓海が
二年の寮の前を通ると
そこには海斗とかんなさんが
二人で歩いていた。
かんなさんは海斗に
べったりとくっついている。
―あたしの海斗に触らないで
今すぐそう言ってやりたい
のに、あたしは今
言える立場にいないから。
「あっ…」
一瞬、海斗と目があう。
一瞬だったけれど
あたしには伝わった。
"大好き" "安心しろ"
そんな気持ちがこもった
目と表情だった。
あたしは自然と笑みが
こぼれてしまっていた。
「お前…そんな可愛い顔で笑えんじゃねーかよ。」
夢花拓海がいきなり
意外な言葉を言った。