あたしの俺様執事様。
大きな声がでそうになる
のを必死におさえた。
でも声をおさえた変わりに
大粒の涙が溢れ出す。
そしてかんなさんが
私の存在に気づき、
わざとらしく海斗に
抱き着く。
かんなさんが無理矢理
海斗にキスをした。
前にもこんなことが
あった気がする。
海斗が悪くないとわかって
いたとしても…
キスは嫌だよ…。
これ以上この場所にいたら
涙で干からびてしまう…
あたしはよろつく足を
ふみしめながら走った。
どこへ走っているのか
どこへ向かっているのか
もうなにもわからない。
フラつく…
目の前が暗くなってきた。
倒れそうになったとき
あたしは何かにぶつかった。
「ったく。勝手にほっつき歩いてんなよあほ!…って…どうした?」
夢花拓海だった