Honey Sweet Melody
* * *
生徒会室の掃除を無事に終えて、華音はようやく家に到着した。徒歩12分という楽な道のりだ。
「ただいまー。」
そう口にして、そう言えば誰もいないのだということに気付く。平日のこの時間に誰かがいることはほぼない。休日だって、何かと一人の日は多い。
「おっかえりー華音!」
「え?」
「華音ちゃん!おかえりなさい。」
「えぇ?お兄ちゃんと絵美(エミ)さん?」
「夕飯出来てるわよ?」
「えぇー絵美さんが作ったの?」
「ええ。」
「やったー♪絵美さんのご飯、超好き!」
「良かったわ。」
焦げ茶色のストレートロングがふわりと香る、兄の彼女が来ているなんて珍しい。兄にはもったいないくらいの美人で、華音に対してもとても優しく、それでいて料理上手。兄とは大学生の頃に出会ってからの長い付き合いを続けている。なんだかんだで愛され、愛している二人のことは羨ましくもあり、理想でもある。
肝心の兄の方はというと、実はろくでなしだったりする。仕事はできるけれども。
「華音ー聞いてくれっ!俺と絵美、今日結婚するから!」
「はぁ?何言ってんの?」
「つーか子どもができちまってさー。まぁ俺は責任取る男だし?だから結婚するってわけ。華音はおばさんになるんだぞ?」
「ちょ…ホント何言ってんの?ってか結婚とか赤ちゃんとか…お兄ちゃんバカなの?ねぇ、バカなの?」
バカだとかアホだとか散々言ったり思ったりしたけれど、ここまでろくでなしだと思ったことは今までにない。
「ちょっと圭一…その辺に…。」
「華音はこのぐらいからかったほうが楽しいんだよ。いいかー華音。今日は何の日だ?」
「へ?な…何の日って?別にあたしの誕生日じゃないし…絵美さんのでも…お兄ちゃんのでもないし…。」
「今日は何月何日?」
「えーっと今日は…4月1日…。ってあ!」
「よーやく気がついたかー!」
「エイプリルフール!」
「大正解!」
にたりと笑う兄は本当にどうしようもない。心配して損をしてしまった。華音の兄、飯島圭一(イイジマケイイチ)はどうしようもないバカである。23歳。独身だけど絵美という可愛い彼女持ち。華音の父が経営する会社の一つで今働いている。
生徒会室の掃除を無事に終えて、華音はようやく家に到着した。徒歩12分という楽な道のりだ。
「ただいまー。」
そう口にして、そう言えば誰もいないのだということに気付く。平日のこの時間に誰かがいることはほぼない。休日だって、何かと一人の日は多い。
「おっかえりー華音!」
「え?」
「華音ちゃん!おかえりなさい。」
「えぇ?お兄ちゃんと絵美(エミ)さん?」
「夕飯出来てるわよ?」
「えぇー絵美さんが作ったの?」
「ええ。」
「やったー♪絵美さんのご飯、超好き!」
「良かったわ。」
焦げ茶色のストレートロングがふわりと香る、兄の彼女が来ているなんて珍しい。兄にはもったいないくらいの美人で、華音に対してもとても優しく、それでいて料理上手。兄とは大学生の頃に出会ってからの長い付き合いを続けている。なんだかんだで愛され、愛している二人のことは羨ましくもあり、理想でもある。
肝心の兄の方はというと、実はろくでなしだったりする。仕事はできるけれども。
「華音ー聞いてくれっ!俺と絵美、今日結婚するから!」
「はぁ?何言ってんの?」
「つーか子どもができちまってさー。まぁ俺は責任取る男だし?だから結婚するってわけ。華音はおばさんになるんだぞ?」
「ちょ…ホント何言ってんの?ってか結婚とか赤ちゃんとか…お兄ちゃんバカなの?ねぇ、バカなの?」
バカだとかアホだとか散々言ったり思ったりしたけれど、ここまでろくでなしだと思ったことは今までにない。
「ちょっと圭一…その辺に…。」
「華音はこのぐらいからかったほうが楽しいんだよ。いいかー華音。今日は何の日だ?」
「へ?な…何の日って?別にあたしの誕生日じゃないし…絵美さんのでも…お兄ちゃんのでもないし…。」
「今日は何月何日?」
「えーっと今日は…4月1日…。ってあ!」
「よーやく気がついたかー!」
「エイプリルフール!」
「大正解!」
にたりと笑う兄は本当にどうしようもない。心配して損をしてしまった。華音の兄、飯島圭一(イイジマケイイチ)はどうしようもないバカである。23歳。独身だけど絵美という可愛い彼女持ち。華音の父が経営する会社の一つで今働いている。