奏〜大好きなキミへ〜


いつものように部活が終わる。
先生の話。

「今日は市吹さんの定期演奏会な
ので皆さんぜひ行ってくださいね


あーっ!忘れてたぁ…

誰と見に行こうか…

先輩?

でも…勇気出ない…

うまい言い訳も見つからないし…
先輩を見ると1人で楽譜を見てる。

チャンスなのにっ!


ええぃっ!

イチカバチカだぁっ!!

「光さん!」

「どした?」

「あのっ…」

ドキドキ…


「あのっ一緒に定期演奏会見に行ってもいいですか?」

言っちゃった…

「ごめん!友達と行くんだ…昨日言ってくれたら良かったのに。」

あぁ…

あたしはいつも慎重になりすぎて
失敗するんだよ…

「あっそうなんですか!すいませんでした!」

こんなのでめげるあたしじゃないのだっ☆

近くに座れれば…

開演ギリギリまで待ったけど来ない。

諦めて会場に入り、友達の隣にすわる。


1部のステージが終わって

横の列をずっと見ていると 先輩がいた。

席を立ち上がって

先輩の近くに座っている中学の時の副顧問のところへ行く。

もちろん、 あたしの目当ては先輩。

私服がどんなものか見て見たかったのだけれど…

「制服か…」

思わず口から出てしまった。

聞こえてなかったよね…?

2部が始まる。

演奏なんて耳に入ってこない。

入って来るのは

先輩の映像だけ。

気付いて。

こんなに先輩のこと大好きなんだよ。



あっという間の演奏会だった。

その後

わざと先輩と一緒になるように
玄関で待ったけど

一瞬見えただけ。




でもいいんだ。



ちょっとでも先輩に近付けた気がするから…

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