奏〜大好きなキミへ〜


告白した時よりも確実に、

日を追うごとにどんどん好きになってる。




今日はいよいよメンバー発表の日。

打楽器は最後。


どんどん名前が呼ばれていく。

もちろん呼ばれない人もいる。


泣いていた。


いよいよ打楽器。

「ティンパニー…」


お願い!先輩の名前を呼んで…


「光。」

やったぁっ!!

それと同時に込み上げる悔しさ。
出られないのは悲しいけど、

先輩に出てもらえるから嬉しい。

先輩の方を見る。


…悲しそう。



バス停でバスを待つフリをして先輩を待った。

「コンクール頑張ってくださいね!」

「ありがとう。」

そう言って、隣に座った。


「もう敬語じゃなくていいからね。そーゆーの嫌いだし。
呼び捨てで呼んでいいよ」

「あたしのことも呼び捨てで呼んでください。」

「ただし、みんなの前ではけいごにしよう。」

「わかってます。」



しばらく無言が続く。

「奏楽…にコンクールでてほしかった。」

まだ呼び慣れてないあたしの名前。
新鮮だ。

「どうして…?」

ため口も案外難しい…

「奏楽の方が上手いもん。」

「上手くないよ…」

「だってもう1人の3年もそう言ってたし。」


そうなんだ…

認めて貰えてたんだ。


そう思ったら嬉しくなった。


でもね。

光先輩が誰よりも頑張ってたの知ってるよ?


朝、あたしより先に来てチューニングしたり。

放課後も残って練習して。

先輩が頑張ってるから、あたしも頑張らなきゃって思ったんだよ。

だからコンクールは光先輩が出なきゃいけないんだよ…


「そんな…!せっかくのチャンスなんだから…
金賞取ってあたしを上の大会のステージに立たせてください!」


「うん!頑張るよ!
絶対に連れていってあげる!」


支えたい。

1番近くで…


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