奏〜大好きなキミへ〜
音楽室に入ると先輩方は着替えて出発の準備をしていた。
そんな先輩方を準備室に呼び出す。
「ミサンガを1年で作りました。
付けさせていただきます笑」
そう言って、それぞれの担当の先輩の腕にミサンガを付けはじめる。
あたしはもちろん光。
長さを失敗して結びにくい…
「ありがとう!」
ニコニコ嬉しそうに笑ってくれた。
いよいよ出発。
みんなで協力して4階から1階まで楽器を運ぶ。
あたしはここくらいでしか協力できないから…
点呼をしてバスに乗り込む。
バスは応援バスと参加者のバスとに分かれる。
先輩とは分かれちゃうけど…仕方ない。
会場に着くともう演奏は始まっていた。
どの学校も上手い…
さすが高校!!
楽器運び担当のあたしは、打楽器と一緒に行動する。
緊張している先輩方を笑わせて緊張を緩める。
それでもあんまり笑わないのが1人…
「大丈夫?」
「もう…緊張感がハンパないよね。
テンションていうかモチベーションがね?
あんまり上がらないよね?」
「いや…よく分かんないですけど…」
あーだこーだ言ってるうちにもう本番!
ティンパニーを運ぶ。
そして光と一緒にひな壇に上げる。
終わって袖に戻る時。
『が・ん・ば』
クチパクで言った。
気付いたかなんて分かんないけど…
メンバーでない部員がかたずをのんで見守る。