奏〜大好きなキミへ〜
いよいよ結果発表。
会場の空気が変わる。
生徒がザワザワし始める。
ステージの上に出場校の部長が出てきた。
ザワザワが一層高まる。
ドキドキドキドキ。
鼓動が更に早くなる。
次々と賞が渡されていく。
金賞ばかりが呼ばれていく。
涙が込み上げる。
いよいよ発表。
『南高等学校…』
お願い!!
もう1度あたしに祈りを演奏させてください!!…
みんなの祈りが一つになる。
『――――銀賞』
こらえていた涙が一気に溢れる。
もう…ステージの上で祈りを演奏することも
光や3年生とステージの上で演奏することもできないんだね…
周りを見るとみんな泣いてる。
3年生の先輩方は見に来ていた親に抱きついて泣いている人もいた。
あたしたちの夏は…
終わったんだ…
光も泣いていたのか涙目で充血していた。
帰るためにバスに乗り込む。
バスの中では最初みんなしんみりしていたけど
だんだん明るい声や笑い声が聞こえるようになった。
みんな力を出し切った後悔のない演奏だったからだよね。
最高の演奏だった。
学校に戻るとみんな笑顔だった。
1人を除いて…
光が廊下の隅でうずくまっている。
でもバレたくない臆病なあたしは…
声を掛けることができなかった。
外で親の迎えを待つ。
だんだん人が減っていく。
玄関で具合悪そうにしゃがんでる光。
このまま2人きりになったら家まで送ってもらおうと思ったけど…
残念ながら来てしまってダメだった。
光は具合悪いはずなのにあたしが帰るのを見届けてくれた。
…のかな?
後悔した。
バレてでも送るべきだったと…
ごめんね。