奏〜大好きなキミへ〜

ふと空を見上げると満天の星空。

星…綺麗で大好きなんだよね。

「星好きなの?」

「うん!光は星好き?」

「好きだけど…
俺あんまり分かんないから星座教えてよ」

「いいよー

あのWみたいな形をしている星座がカシオペア座。

で、あの明るい3つの星を結んでできるのが夏の大三角形だよ。」
「よく知ってるね」

「理科で習いましたからね。

今度プラネタリウム見に行かない?」

「いいね。行こうか。」


話が途切れる。

あたしの肩に光が寄りかかってきた。

「フツー逆でしょ」

と言って光の肩に寄りかかる。

口をついて出てきたのは

「大好き。」


これ以上の幸せはいらないと思った。

光とずっと一緒にいられるなら何もいらないと

本気で思った。


顔を見ようとしたら目が合った。
間近に光の顔がある。

その顔が近づいてくる。


チュッ―――


唇の端にあたった軽いキス。

照れ臭くて

「もぅっヘタっ!」

って言っちゃった。


でも…

ファーストキス。

スゴく幸せで胸がきつく締め付けられた。


7時半。

もうすぐお別れだ。

寂しいよ…

「お願いもう1回だけキスして?」
「いいよ」

そう言って再び唇を重ねる。


大好きだよ…

そう心の中でつぶやきながら。


帰り道、どちらともなく自然と手を繋いだ。

光の手は大きくて、
あたしの手なんて簡単に包まれちゃう。

そしてあったかくて。

身長差がありすぎて繋ぐのは大変だけど…

そんなの気にならないんだ。

手を繋ぐのも初めて。


光に出逢えたことに感謝した。

「ありがとう。ずっと一緒だよ」

「ん?何か言った?」

「ううん?何も言ってないよ」


本当に本当にありがとう。
< 38 / 50 >

この作品をシェア

pagetop