奏〜大好きなキミへ〜

入場時間になったから

ポップコーンとコーラを買ってもらって中に入った。


映画が始まる。

ヤバい…

あたしとしたことが…


トイレに行き忘れるとはっ!!


まだ我慢できる。まだ…


映画も後半。

耐えて耐えたけど…

もーう無理っ!!

「ちょっと行ってくるね。」

そう言って席を立つ。

恥ずかしい…っ!


戻ってきて、席に座る。

あたしの手に光の手が触れた。

次の瞬間にはあたしの左手は光の右手に包まれてた。

2人とも…手を繋ぎたかったんだね。


手を握ると光も握り返してくれた。


大好きだよって言われてるみたいで嬉しかった。

自然と涙が溢れる。

本当にありがとう。感謝ばっかりだよ。


それからの2人は自然に手を繋いだ。

壁なんて無くなった。


お昼は、あたしが大好きなオムライス。

光は大盛りだったけど足りなそう。

「あたしのも食べる?」

「奏楽のでしょ?いいの?」

「いいよ!食べな?」

「ありがとう!」

食べている姿の光は少年みたい。

帰りのバスの中で光の失恋話を聞いたり、

お母さんの話を聞いたり。


行きのバスと違ったのはずっと手を繋いでいたこと。


初めて光の家へ行った。

そこで初めてディープキスをした。

光の舌が入ってきてとろけそうになる。

息が苦しい。


その日は一番遅いバスで帰った。
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