暴れる羽
チャンスはいきなりやってきた。
疲れたのかひろのパンチが一瞬だけ遅れた。
その瞬間を美羽は見逃さず、受け流し、腹を殴った。
「っく……」
苦しそうな声がひろから漏れた。
「そこまでだ。やめろ、ひろ」
倒れたひろに遠くから声をかけたのは翔太でも玲奈でもなかった。
「……か、い?」
美羽はそのシルエットに見覚えがある。
愛しい人。
一番大好きな人。
美羽の首に下がるネックレスに付けられている、指輪の持ち主。
「やっと見つけた。美羽」