駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
序章
あの出来事は、もしかしたら夢だったのかもしれない。
そう思い込みたいほど、長いようで短い彼らとの暮らしは色濃く彼女の胸に残る。
幸せだった?
辛かった?
誰かに、そう聞かれたら、彼女は今なんて答えるだろうか。
新撰組と誠の道を歩んだ一人の少女は、大人へと成長し少しずつ過去を振り返ろうと
ある大木の下に立つ。
見上げた大木は、何かを語りかけるかのようにそよそよと風に揺れていた。
「みんな…私帰ってきたよ」
彼女は静かに瞼を綴じた―――
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