駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

いつからか新撰組は、京の治安を守っていると位置づけて、攘夷志士の弾圧に走り始めた。


日本を守りたいという面は双方同じはずなのに、幕府の犬と呼ばれても仕方ないように、幕府にとって邪魔な者を悉く潰していく新撰組のやり方にはついていけなくなった。


攘夷志士だけではない、彼らは仲間だったはずの者さえ、邪魔なら切り捨てるようになった。


「新撰組の思想と違った者はいない方が良い。 でないと、いつか皺寄せが必ずやってくる」

「さ…」

「土方君、私は決して君のやり方を否定したいわけではない。 ただ…君のやり方は、君を追い込むものでしかないんじゃないかな」

「…っは。 だ…っから、止めようと言いやがんのか? 俺を…新撰組をっあんたのっ…命でかっ!?」

「歳っ! 落ち着け」



戦いが激しくなる度、暗殺を強いられる度、土方の心は鬼にならざる得なかった。


新撰組の中枢である土方が鬼になるなら、それについていく男達も鬼にならなくてはならず、山南にはそれが無理だった。



争い事が嫌いな山南には、土方がとても寂しい男に見えてしまった。


興奮する土方を宥める近藤から目を反らし、目の前に置かれた刀を見て僅かに目を開ける。


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