駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
沖田は一つ頷くと、刀を山南の上に被せる。
ギラリと、太陽の光が白刃に反射した眩しさに一瞬身体がふらついたが、直ぐに体勢を元に戻すと手に力を込めた。
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――――……
『沖田君、君も近藤さんのように武士になりたくて浪士組に参加するのかい?』
まだ幼さが残る少年に、山南は些か不安だった。
この若さで、危険に自ら身を投げ出さなくてもいいのにと。
『う〜ん? 私は武士になりたいわけではないですよ』
意外な返答に、唖然とする山南。
そんな山南に、沖田はにこっと微笑む。
『ただ、近藤さんと一緒にいたいからです!』
『こ、近藤さんと、一緒? それだけかい?』
『はい? それだけですよ。 あ、山南さんは?』
『えっと、私は……』
山南は、少し離れた場所で近藤と何故か喧嘩している土方に目を向けた。
その視線を追った沖田は、山南が土方を見ていることに多少驚く。
『抑え役が必要な時もあるだろうから……かな』
『ふうん。 よく分からないです』
『ハハハ。 そうだねぇ』
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――……
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