駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
固く閉ざしていた瞼を持ち上げた。
もう後には退けない。
これを降り下ろした時、山南とは永遠の別れとなる。
「みんな、すまなかった」
山南、沖田、二人して身体に緊張が走る。
「こんな私を仲間だと言ってくれて…ありがとう」
その言葉の後、山南は苦しむことなく命をたった。
近藤は、その死に様を立派な最期だったと涙を流した。
土方は無言のまま、暫くその場に立ち尽くす。
沖田は、刀を投げ捨てると前川邸を走って立ち去った。
山南の遺体の傍では、溶けきらない白い雪がキラキラと輝き、その穏やかな最期の笑みを一層輝かせていた。
元治二年二月二十三日、山南敬助。
脱走の罪により切腹の末、永眠。
享年、三十三歳。
この日二月二十三日は、皮肉にも彼らが夢を胸に抱きながら浪士組に参加し、
文久三年二月二十三日、京都の地に降り立った日と同じであった―――――
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