駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
夕陽に染まる空を見上げ、不甲斐ない己に溜め息を吐いた。
『――ごめん。 こんな話されても困るよな! 明日は朝から忙しいし、今日はもうゆっくりしたらいいよ』
謝らせてしまったことに、何の力にもなれないことに気持ちが沈む。
山南が亡くなって辛いのは皆同じといえ、付き合いが長い彼らの方が数倍辛いのだろう。
そう思い、矢央は気丈に振る舞わねばと思った。
辛い時、悲しい時、皆が落ちていては駄目だから。
けれど―――――――――
「……平助さんに、何をしてあげられるんだろう」
矢央が辛かった時、誰よりも支えようとしてくれた藤堂に、今何をしてあげたらいいのか、さっぱり考えつかない。
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