駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

夕陽に染まる空を見上げ、不甲斐ない己に溜め息を吐いた。


『――ごめん。 こんな話されても困るよな! 明日は朝から忙しいし、今日はもうゆっくりしたらいいよ』


謝らせてしまったことに、何の力にもなれないことに気持ちが沈む。

山南が亡くなって辛いのは皆同じといえ、付き合いが長い彼らの方が数倍辛いのだろう。


そう思い、矢央は気丈に振る舞わねばと思った。

辛い時、悲しい時、皆が落ちていては駄目だから。


けれど―――――――――


「……平助さんに、何をしてあげられるんだろう」


矢央が辛かった時、誰よりも支えようとしてくれた藤堂に、今何をしてあげたらいいのか、さっぱり考えつかない。


.
< 132 / 640 >

この作品をシェア

pagetop