駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

揉めながらも荷物を運び終えた矢央達は、新しい屯所となる西本願寺の入口で荷車に凭れへばっていた。

そこへ、頭に手拭いを巻いた斎藤が片手に叩きを持って現れる。


「それくらいで弱るようでは戦で生き残れぬぞ。 日頃の鍛練が足りておらぬ証拠と言える」

「……いやいや、俺達は朝から荷物運びという重労働してきたばっかだから」

「そうですよ、斎藤さん! 私達は…」

「てめぇは、怒られただけだろぅがっ!!」

「永倉さん、貴方半日でやつれましたね」


斎藤と永倉、そして矢央の会話を聞きながら、何気に一番頑張った原田は頭をかきながら立ち上がると、斎藤同様に手拭いを頭に巻き始めた。



「新八、矢央に構ってると日が暮れちまうぞ。 斎藤、平助、これ運ぶの手伝え!」


荷車に乗っていた荷物を抱えた原田に、溜め息を吐きつつ永倉は頷き同じように荷物を抱えた。

面倒くさいとボヤきながらも、さすがにサボるわけにはいかないのか藤堂も荷物を抱える。


残った矢央に、斎藤は叩きを手渡すと 「間島は、部屋にて掃除だ」 と、女子でも出来る任務を命じられ、叩きをパタパタと振って男達を見送るのだった。



「にしても、斎藤さんの割烹着姿……似合わないよねぇ」


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