駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
「私はこれより、隊士達の健康診断をしたいと思うのだが」
あわあわと慌てる近藤に成り代わり、全ての指示を出したのは土方だった。
「分かりました」
立ち上がった土方は、バンと襖を開くと山崎を呼ぶ。
「山崎君、屯所内に風呂を設ける場所の支度と浴槽を至急手配してくれ」
「御意」
山崎が直ぐ様行動に移したのを確認すると、次に土方が視界に捉えたのは矢央と沖田である。
「健康診断をするために、動ける隊士は広間に集まるように知らせを回せ。 一人じゃ大変だろうから、総司お前もついて行ってやれ」
「はい!」
素早く的確な土方の対応に、松本は酷く感心した。
この男こそが、新撰組にならなくてはならない存在なのだろうと。
「土方さん、貴方の行動力には天晴れですぞ」
「いいえ。 俺は、松本先生に言われた通り指示をしたまでですから」
謙虚な姿勢もまた良いと、松本は頷いた。
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