駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
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矢央と沖田の呼び掛けにより、広間にて松本の健康診断が始まる。
松本が呼び寄せた医者や助手数名で、百人を越える人数を診察するため、広間には人集りが出来てしまった。
「おいおい、こりゃ何の騒ぎだ?」
巡察から帰って来た永倉が目を丸くして、隊服を着たまま広間に引寄せられて来た。
「あ、永倉さん巡察ご苦労様です! これはですね、健康診断です。 永倉さんも、ちゃんと受けて下さいよ?」
「健康診断?」
「おお! 新八! お前、最近風邪気味だとか言ってたろ。 丁度良い診てもらえ!」
診察風景が一つのイベントのようで、興味津々な矢央は永倉にも列に並ぶように指示を出す。
すると、先に並んでいた原田が永倉を手招きした。
「永倉さん、風邪気味なんですか?」
「いや〜…ちょっとダルいだけだ。 ンなことより、お前は受けたのか?」
永倉は脱いだ隊服を矢央に渡し、心配顔で見上げてくる矢央の頭を撫でる。
「ううん、まだです。 松本先生が、私は最後に診てくれるみたいで」
診察が始まる前に、松本は矢央を気遣い診察は後にしようと提案してくれた。
だから今は暇を持て余している状態だと言いながら、永倉と共に最後尾に並んだ。
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