駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
第三話*悲しい誓い
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―――スーッ、トンッ!
「ありがとうございました」
背後で障子戸を閉めた矢央は、庭で桜を眺める沖田を見つけた。
―――
――――――
「ところで、なんで山崎さんがいるんですか?」
医者相手ならば裸を見せても恥ずかしくはないが、山崎がいるとあっては服を脱ぐのを躊躇する。
ようやく矢央に診察の声がかかったのは夕刻で、広間ではなく一室にて診察をすることになった。
部屋に入ると松本と、何故か観察方の山崎がいて、矢央は目を細めて上の台詞を発したのだ。
「山崎君には、ちと人手が足らんので手伝ってもらったんだよ。 それにほら、君達は救護隊に属しているらしいじゃないか」
「大した事は出来ませんが」
「いやいや、君は利口だよ。 言われた事を直ぐに習得できる」
表情をあまり変えない山崎だったが、褒められて嬉しいのか僅かに口許を緩ませた。
「…と、言うわけや。 さっさと脱がんかい」
「どう言うわけですかぁぁ!?」
一瞬の笑みを隠し、直ぐに任務に取りかかろうとする山崎は、拒む矢央を無理矢理押さえつける。
「やめろ! 変態!」
「うっさい。 お前の貧相な身体見たところで、どうもせんわボケ」
「貧相ってなんだ!! 失礼でしょ!」
「上司に向かって、グーで殴りかかるお前は失礼やないんかい」
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