駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

第三話*悲しい誓い


***

―――スーッ、トンッ!


「ありがとうございました」


背後で障子戸を閉めた矢央は、庭で桜を眺める沖田を見つけた。



―――
――――――



「ところで、なんで山崎さんがいるんですか?」


医者相手ならば裸を見せても恥ずかしくはないが、山崎がいるとあっては服を脱ぐのを躊躇する。

ようやく矢央に診察の声がかかったのは夕刻で、広間ではなく一室にて診察をすることになった。


部屋に入ると松本と、何故か観察方の山崎がいて、矢央は目を細めて上の台詞を発したのだ。


「山崎君には、ちと人手が足らんので手伝ってもらったんだよ。 それにほら、君達は救護隊に属しているらしいじゃないか」

「大した事は出来ませんが」

「いやいや、君は利口だよ。 言われた事を直ぐに習得できる」


表情をあまり変えない山崎だったが、褒められて嬉しいのか僅かに口許を緩ませた。


「…と、言うわけや。 さっさと脱がんかい」

「どう言うわけですかぁぁ!?」


一瞬の笑みを隠し、直ぐに任務に取りかかろうとする山崎は、拒む矢央を無理矢理押さえつける。


「やめろ! 変態!」

「うっさい。 お前の貧相な身体見たところで、どうもせんわボケ」

「貧相ってなんだ!! 失礼でしょ!」

「上司に向かって、グーで殴りかかるお前は失礼やないんかい」


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