駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

「矢央ちゃん達、散歩?」


駆けよって来た矢央と、その後ろで複雑そうな表情を作る永倉を交互に見やり藤堂は問う。


「あ、はい! 平助さんは、巡察中ですよね?」

「うん。 でももう帰るとこだよ」

近くに待機していた隊士達に先に帰るように促すと、仕事は終わったとにっこりと微笑む。


――――丁度良い。

そう思った矢央は、藤堂の手を握った。

思いもしなかった行動に、藤堂は顔を赤らめる。



「だったら平助さんと一緒に帰ります! ね?だから永倉さんは、遠慮なくお出かけしてください」

ゆっくりと歩み寄って来た永倉を振り返った矢央は、ジッと意味ありげに見てくる永倉に一歩後ずさった。


「な、なんですか?」

「それはこっちが聞きてぇな」


何故か睨み合う両者に挟まれ藤堂は慌てながらも仲裁に入るが、藤堂もまた何となく矢央に違和感を感じていた。


二人を見かけた時、矢央を纏う雰囲気がいつもと違って見えたからだ。


「……まあまあ、何があったか知らないけどさぁ、新八さんは用事があるみたいだし行きなよ? んで、矢央ちゃんは一緒に帰ろうか」


二人に何があったか知りたい気もするが、今はよそう。

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