駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
「…わかった。 それで平助ちょっといいか」
腑に落ちないとこはあるが、引きずるのもよくない。
矢央を藤堂に任せることにした永倉は、少し話があると言って藤堂を呼び寄せた。
一人取り残された矢央は、ほっと安堵し、ひそひそと声を潜めて話す二人を横目に見る。
真剣な面持ちで暫く話し込んでいた二人は話し終えたのか、永倉は島原がある方角へと消えて行った。
その背中を見送りながら、胸に感じる違和感に気付かないふりをした矢央であった。
「さっ、帰ろっか!」
「あ、平助さん。 帰る前にお味噌買いたいんで付き合ってもらえますか?」
永倉がいなくなった途端に、いつもの矢央の雰囲気に戻っている。
それに対し藤堂は苦笑しながらも頷いた。
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