駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
トトトト……
目的地に向かって歩いていると 「あ、矢央さ〜ん!」 と呼び止められた矢央は、ヒョイと部屋の中を覗いた。
「沖田さんに…山崎さんもいたーっ!!」
「…うっさいんが来た」
暇を潰すために向かっていたのは山崎の部屋で、山崎の部屋の隣は今は療養中の沖田の部屋になっていた。
前を通りかかった矢央は目的の人物を見つけ、遠慮なく沖田の部屋に入っていく。
「なにしてるんですか?」
布団に入ったままの沖田と、その沖田と向き合って座る山崎の隣に座った。
「山崎さんに体をみてもらってたんですよ」
「えっ!? か、体ですか?」
沖田をよくみれば着流しの前を広げ、白い肌があられもなく見えている。
それを見て何を想像したのか顔を赤くした矢央の頭は、ポカッと山崎に殴られた。
「アホな想像すな。 体調をみていたと、アホにもちゃんと伝わる説明をして下さいますか」
「いったぁ…」
「あははっ。 私たちに、そういった趣向はないですからねぇ」
はだけた前を直しながら、沖田は頭を撫でる矢央に言う。
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