駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
無理に寝ようとしても、頭がごちゃごちゃなままでは眠れない。
こんな時は夜風に当たり、眠気がくるのを待つしかないだろう。
「眠れぬのか?」
「…どわっ!?」
戸を開けると、思わぬとこから声をかけられ驚いた矢央は、壁にもたれながら刀を眺める斎藤を睨んだ。
何故こんな夜更けに斎藤がいる?
その疑問は、斎藤本人があっけなく答えてくれた。
「今宵より、間島に見張りをつけるそうだ」
「見張り?」
「誤解するな。 全ては間島のためだ」
斎藤は、矢央が変に勘ぐるのを止めさせようとして言ったが、矢央は素直に受け止める。
「ありがとうございます。
私を守ってくれてるんですよね?」
最初の計画では、少し散歩でもしようかと思ったが、予定を変えて斎藤の隣に腰を下ろした。
物静かな斎藤の隣に座ると、チラッと視線を向ける。
「…狙われている自覚は?」
「う〜ん、正直ないですね」
特別何かあったわけでもないし、と呟く。
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