駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
「そう…ですね」
腑に落ちない返事。
自分を信じ、素直に生きる。
それは簡単なようで、案外難しい。
しかし、斎藤と話して少しだがすっきりしたのか、眠気が矢央を誘う。
「夜も遅い。 明日、特別用がないにせよ早く寝たほうがいいだろう」
「そうですね。 じゃあ、寝ようかな…。 斎藤さん、お話に付き合ってくれてありがとうございました」
「大したことではない」
そう言うと、瞼を閉ざした斎藤。
立ち上がり、部屋に入った矢央は、襖を閉め「おやすみなさい」と小さく言葉にした。
布団に入ると、あっという間に眠気に襲われる。
明日起きたら何をしようか?
そんなことを考えているうちに、矢央の意識は闇の中に落ちていった――――。
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