駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
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寝坊した矢央は、沖田が取っておいてくれた食事を軽く済ませると、いつも通り屯所内の掃除をしていた。
箒で庭の掃除をしている傍では、沖田がその風景を眺めている。
「沖田さん、今日は調子良いんですか?」
「はい。 咳もあまり出ないし、今日は調子が良いですよ」
にこっと微笑まれ、ホッと安心する。
沖田の調子が良いと、こちらも元気でいられると、矢央はまた掃除にとりかかった。
「そういえば、今日はお祭りがあるみたいですよ」
「お祭り!?」
なんとなく言ってみた発言だったが、矢央には好奇心を煽る言葉だったらしく、箒を投げ出し沖田の隣に座り込む。
見事に宙を舞って落ちた箒を苦笑いで見た沖田は、直ぐ隣で瞳をキラキラと輝かせる矢央が子犬のように思えた。
(尻尾を振って喜ぶわんこですねぇ)
「大きくはないみたいですけど、島原の近くの通りでやるみたいです」
朝の巡察隊が、町人達が忙しなく準備していた様子を見かけたと話していた。
「いいなぁ! お祭りかぁ」
行きたい。
ものすごく行きたい、が、あまり目立った行動を避けたい今、土方から了承を得るのは難しそうだと唸る。
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