駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
朝餉を済ませ屯所の掃除をする。
それが終われば、お雪と共に隊士らの洗濯をする。
なんら変わりない日常だ。
(それにしても暑い…)
洗濯物を干し終え額に浮かんだ汗を拭うと、一瞬視界がぐらりと歪んだ。
「矢央ちゃんっ!!」
蹲った矢央に駆け寄ったお雪。
「どうしたの?」
そこへ現れたのは、道場で一汗流してきた藤堂と永倉。
お雪に支えられたままの矢央を見て、裸足のまま庭に駆け降りた永倉は
迷うことなく矢央を抱き上げた。
「平助っ、矢央の部屋に行って布団を敷いとけ!」
「えっ? ああ、うんわかった!」
矢央の部屋に走って行く藤堂を見送り、
「雪、水と手拭を持ってきてくれ。
ああ、それと土方さんとこ行って矢央が倒れたこを」
「は、はい!」
お雪にも素早く指示をだし永倉も部屋へと向かった。