駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
「矢央良かったやないか、発育しとって」
「見たのかああああぁぁああ!?}
勢いよく起き上がって、
また布団に倒れこんだ矢央は山崎睨む。
「そういえば、さっきお雪ちゃんが着替えさせてたよ」
「あ、お雪ちゃんが」
「藤堂さん、種あかし早すぎやわ」
ほっとしたのも束の間、山崎を再度睨む。
暫くこれで矢央をからかうつもりだった山崎は
ちっと舌うちをした。
「変態」
「ああ? なんや言うたか?」
「むっつり助平」
「餓鬼の胸なんか、まったく興味ないわ」
「おっさん」
「ぐっ…」
何気に気にしているのか。
と、永倉はくっくっと肩を揺らす。
「それだけ言えるなら、寝てれば直ぐよくなんだろ」
「…とりあえず、寝てる間は晒を取れ」
「え、でも…」
男装を始めてから一度も晒を取った生活をしていない。
唯一取っていたのはお風呂の時くらいなのにと、
不安がる矢央。
「そのためにも、夜は見張りをつけてやる。
と言っても、すでにつけてるがな」