駆け抜けた少女ー二幕ー【完】


「……ッッ!!」


バッと、目開けたと同時に視界に入ったのは、またしても闇。

しかしそれだけではなかった。


「お目覚めですか?」

「…な、んで?」


此処は新撰組屯所のはずで、彼は確か脱走したはずなのに、


「くま…き、さん」

「お久しぶりです。 間島さん」


にこっと微笑んだ熊木の目は笑っていない。

そしてやはり、此処は屯所のしかも自分の部屋であることを熊木の背後に見える見慣れた天井で知る。

ーーーカチャリ。


やけに冷静なのは、己の首に感じる嫌な感触のせいだろうか。


熊木は矢央の上に跨がり、鋭い刀の刃を首に押し当てていた。


なんで?
どうしてこんなことになってるの?


状況がよく呑み込めないまま、どうにか助かる方法はないかと視線を入口に向けたが。


「可笑しな真似はしないでくださいよ。 できれば貴女を殺したくはない」


「うっ…」

グッと、更に刃が首に刺さる。

チクリと鈍く感じた痛みに、熊木に殺されると恐怖心が沸き起こった。

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