駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
「さあ、本題に入りましょうか。 何処に隠してるんですか?」
隠す? 何を?
熊木は何を求めてる?
「赤石。 持ってますよね?」
背筋に嫌な汗が伝う。
赤石の存在を熊木は知っている。
ということは、矢央が何者なのかも知っている可能性が高かった。
「さあ、何処に隠している?」
一瞬、一瞬だけ矢央の視線が下を向いた。
それを見逃さなかった熊木はニヤリと笑みを浮かべ、刀を持ち直すと、
ーーーバッ!!
「ッッ!!」
一気に矢央の衣服を広げた。
暗闇にうっすらと浮かび上がる白い肌、露にされてしまった身体の胸元に藤堂から貰った巾着袋がポツンと目立ってそこにあった。
ガクガクと震えだす身体。
「美しい肌ですね。 こんな場所でなければ……」
目を見開き恐怖に歪む矢央の顔に近付き、耳元で囁く。
「襲ってしまいそうだ」
「………」
こんな恐怖は今まで味わったことがない。
死ぬかもしれない、襲われるかもしれない、そんな恐怖にただ震えが止まらない。
なのに助けを呼ぶ声が出ない。