駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
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「それで、矢央は大丈夫なのか?」
巡察から戻ってきた原田、斎藤は藤堂から大まかな事情を聞き近藤の部屋に集まった。
隣の土方の部屋に矢央は眠っている。
その土方の部屋がある方の壁を見つめ、沖田は息をついた。
「意識を失った…ので、今はなんとも言えませんね」
「…それにしても、なんでああなった?」
永倉は今夜の見張り当番である藤堂に尋ねる。
永倉の隣でグッと手を握り、服に皺が寄っているのを黙って見つめていた。
「……分からない。 気づけば部屋が光って、それで、矢央ちゃんが……っくそ!!」
「ありゃ、ただの人間じゃねぇよ」
「と、言いますと?」
黙っていた斎藤は土方を見る。
土方は、熊木のやけに落ち着いた様子と、そして敵ばかりの屯所に軽く出入りできたことに、ただの侍ではないと読んだ。
「やはり、お華と同類なのか…」
「人間ではないと?」
「否、そこまではわからねぇ」
熊木が何者で、何の目的があって矢央を狙うのか。
そして、熊木の後ろには長州が絡んでいるのはどういったことでなのか。
分からないことだらけである。
「当事者がいない場で我々があーだこーだ話しても埒がない。 この事については、辛いだろうが彼女が目を覚ましてからにしよう」
話を纏めたの近藤。
近藤の言葉に渋々納得した面々は、近藤の部屋を後にし、それぞれの夜明けを待った。