駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

第六話*矢央と藤堂平助


矢央が襲われてから数日経ったある日、新撰組に新たな事件が起きていた。


幕府が立てた制札を引き抜き川に捨てられるという事件が立て続けに頻発し、警備命令が新撰組に下って数日間巡察強化をしていたある日のこと。


原田率いる十番隊は、この日怪しい人影を見つけ見張っていると制札を引き抜き川に捨てる行動をとった輩を捕まえる。

その犯人は土佐藩士だった。


三条制札事件、慶応二年九月十二日の出来事である。










ーーーーーそんなことがあって数日、新撰組は慌ただしく時を巡っていたのだが。


この日久しぶりに暇を貰えた矢央は、特にしたいこともなかったので相変わらず掃除に忙しく動き回っていた。


洗濯もすませ、ひらひらと洗濯物が青空の下風に舞う庭で箒をせっせと動かしていると、最近すれ違い気味でなかなか顔を合わせなかった藤堂がやってきた。










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