駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

「にしても、またしても熊木かよ。 いったいなにがやりてぇんだ」


矢央を捕まえたいのならば、藤堂が来る前に連れ去ればよかったはずなのに、熊木は藤堂を来るのを待っていたように思えてならない。

確認すると赤石も矢央の手元にちゃんとあったらしく、ならば今回の目的はなんなのか。


腕を組んで天井を見上げていた土方は、隣の近藤の言葉に耳を疑う。



「前回の事もこの度の事も矢央君には辛い事だったろう。 しかし、彼女はこれまでにも辛い経験を幾度なく乗り越えてきたのも事実。
新撰組である以上、彼女も強くなる必要があり、そして強くなった。だから俺は決めたよ」


近藤の言葉の続きを聞き逃すまいと、皆真剣な表情で近藤を見つめる。





















「彼女を救護隊としてではなく、一隊士として任務についてもらいたい」







< 302 / 640 >

この作品をシェア

pagetop