駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
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沖田と永倉が自分の話をしているとは露知らず、矢央は夢の中をさ迷っていた。
この場所は知っている。
自分と彼女を繋ぐ唯一の場所だったから。
「ごめんなさい。 もう二度と貴女に迷惑をかけるつもりはなかったのに」
声だけしかないのは、きっとあの時きちんと成仏していたからかもしれないと思った。
姿を維持する程の力は今の彼女にはないのだろうと。
「お華さん、熊木さんはいったい何が目的なんですか?」
取り乱すことはなく、必ず会いに来ると思っていたお華を問いただす。
「あの人の狙いは、私の力を宿したままの赤石と、その赤石の力を引き出せる唯一の存在である矢央さんです」
「それはなんで?」
熊木には何の狙いがあるのか。
知りたいことは山程だ。
「彼は、私を恨んでいるのかもしれません」
それ以上お華は語りがらなかった。
だからこれ以上問うのは悪いと思って、後は自分がどうにかしなればならないかと思う。
「ごめんなさい。 今回のことは、私には何もできない。 こうして貴女に語りかけられるのも、次があるかも分からない」
既に死んでいる。しかも、成仏すらして未練のないお華にはこうして夢に現れるのすら困難な状況だった。
「私はどうしてもやらねばならないことがあります。 そのために、今矢央さんたちに力を使うわけにはいかない、だから…」
「大丈夫です。 私はもう迷ってないから」