駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
「土方さんに話した方がいいですよね?」
二人は驚きに眼を見開くばかりだ。
今までの矢央なら取り乱し手がつけられない状態になったはずで、どうやって慰めるべきかと考えていたほどなのに。
現実を受け入れた矢央の瞳は真っ直ぐ二人を見つめて、次の行動に移そうとしている。
「そうですね。何があったか詳しく話す必要はあります。でも今日はもう遅いから、明日にしましょうね」
矢央が落ち込んでいないならば、自分達が落ち込む必要もない。
沖田はにこっと微笑み、矢央の頬を優しく撫でた。
「足も痛むでしょ?」
言われてみれば右の太股辺りが痛む。
あの時斬られた傷かと眉を寄せた。
「あ~、だからか~なんか怠いのは」
思い出すと急に辛くなって、パタンと布団に寝転がった矢央に永倉は言う。
「熱が出てきてるみてぇだ。 薬飲んで今日は寝ろ」
「え、嫌です。 苦いもん」
「どっかで聞いた台詞だな」
と言って沖田を見れば、にこにこと笑っている。
「良いから飲め」
「嫌です」
瞼の上に腕を乗せ、弱々しく頭を振る。
静かになったので、もしかして諦めてくれたのかと腕の位置をずらし様子を伺ってみると。