駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
「だったら、二番隊に配属されりゃ良かったのに」
「どうしてですか?」
そう聞いた瞬間、夜風が吹き荒れ垂れ流していた髪が宙を舞うので手で必死に押さえる。
「決まってるだろ。 誰よりも矢央を守ってやれる自信があるからだ」
トクン。 と、一つ胸が鳴る。
誰よりも守ってやれる自信がある。 一切の躊躇なく言われた言葉にどう返すのが正しいのか。
早く返答しないと、永倉に怪しまれそうで、矢央は咄嗟に思い付いたことを口にした。
「あ、でもっ。 そ、総司さんが余り動けない今は事実上永倉さんが見てるようなものですよね? だったら、一番隊にいようが二番隊にいようがあんまり関係ないですね?」
慌てたものだから、いつもより早口になってしまう。
変に思われただろうか、と不安になっていると、どうやら永倉はそんなことより別のことを気にしたようだ。
「あれ、お前。総司のこと、沖田さんって呼んでなかったか?」
そっちかい! と、ホッとしたしたのも束の間、永倉が少し不機嫌になっているような気がして理由が分からない矢央は、また別の不安に襲われる。