駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
少しでも彼等と長くいられるように、少しでも彼等の負担が減るように。
稽古をして強くなれるなら、いくらでも耐えてやろうと思った。
「……はあ」
なのに、永倉は大きな溜息をつき空を見上げてしまう。
唖然とその様を見詰める、予想外の反応に戸惑う。
「ふふ。 永倉さん、裏目に出てしまいましたね?」
裏目?
何が可笑しいのか、くくっと喉を鳴らす沖田と、やれやれと頭を振る山崎を、訳が分からない原田と矢央は見て首を傾げている。
「なーんで、あんだけやられて、やる気出しちまうかね?」
「はへ?」
「永倉さん、これはしっかり応えてあげるしかないようですね? なんだったら、私が稽古つけて」
「だあああっ、お前ぇは絶対すんな!」
沖田が稽古をするなど以ての外だ。
永倉が相手をする以上に、矢央の怪我が増えるのは目に見えているからだ。