駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

そして朝餉を済ませてから土方の部屋に向かい、障子の前に立って声をかける。


「入れ」


相変わらずの短い返事を聞くと、怒っているのか判断しずらくて困る。


失礼します、と一応言葉を発し障子を開けて部屋に入ると既にこちらに向いて胡座をかいている土方と目があった。


その土方の前に腰を下ろして、緊張気味に「なんですか?」と尋ねた。



「明日、近藤さんと総司を大坂に下らすことにした。松本先生の世話になる」


近藤の右肩の傷は深く暫く療養するべく松本良順がいる大坂へと向かわすこととなり、体調の悪化が原因で沖田もまた近藤と共に新選組から離れることとなった。



「…そうなんですか。ま、また戻って来れますよね?」

「………」


何も言わない土方に不安になる。


それ程までに二人はもう……。





「話はそれだけじゃねえんだ。矢央……










お前も近藤さん達と共に大坂へ行け」












< 472 / 640 >

この作品をシェア

pagetop