駆け抜けた少女ー二幕ー【完】


その斉藤の後ろ姿を見詰めながらボヤく。


「案ずるなって言ったってさ…」


それでも己ができることは、こうして運ばれてくる怪我人の簡単な手当てや握り飯を作ることくらいだ。


何でもやると言った、迷惑はかけないと言った以上、なにがなんだか分からない状況下でもできることをやるしかないんだと思い拳を握り締めた。



皆も戦ってるんだから、しっかり役目を果たさなきゃ!!



「手の空いてる者はおらぬかっ!」

「はいっ、ここにいます!」

「ならこっちにきて手伝ってくれ!」












新選組は剣を主に戦っている。
しかし敵側は銃や大砲を用いていて、接近戦を得意とした新選組は手をやいていた。



「このままじゃ圧される一方じゃねぇかっ!!」

「近くに行けねぇと敵を倒せねえ」


原田と永倉は悔しさを全面に出していた。


剣の腕なら誰にも負けないのに、その剣がまともに活躍する機会がない。

これでは仲間が次々にやられていくだけだ、と拳を叩きつけた。



「俺が行く。土方さん、俺に行かせてくれ!」

「永倉。分かった、好きにやって来い」

「ああ!この腕廃らせるわけにはいかねぇからよ!敵さんに目にもの見せてやるぜ!」

「死ぬなよ?お前には…」

「言われなくても、新八様は不死身でね」

「それ俺の台詞だろぉが!?よし新八、こっちは俺等が引き受けた!お前は好き放題やってこい!」




こうして新選組は決死隊を作り、永倉が隊士を引き連れ奉行所の塀を乗り越えて敵陣に乗り込むことを決めたのだった。




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