駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

情けなさに涙が溢れる。

土方に大坂にやられ、それが納得いかなくて自分の我が儘で帰ってきたのに、何一つ役に立てていない。


接近戦なら矢央でも少しは戦えたかもしれないのに、相手は最新式の武器を用いて遠くから攻撃をしかけてくるのだから、腕の立つ新選組ですら赤子のように軽く倒されていく。


自分に出来ることをやると決めて、兵士達の手当てを頑張った。

腹のたしになるようにあるだけの握り飯を作り、新選組だけではなく会津の兵にも一人ずつ声をかけて渡して回った。


それでもーーーー



「目の前の仲間一人助けられないっ」


情けない。

悔しい。


ガッガッと何度も地面に拳をぶつけると、ズキッと疼き拳を見る。

たった今負った怪我がスーッと透けていくように治っていくのを無表情で見つめた。





「平助さん…約束破っちゃうけど良いよね?ごめんねっ」




痛みに唸る山崎の顔を見下ろし、額に汗でくっついた髪を撫であげる。



一瞬だけ山崎の苦痛に歪む顔が和らいだように見えた。



「山崎さんは生きなきゃ駄目ですよ」



これ以上、あんな寂しげな土方の背中を見たくない。


これ以上、大切な仲間を失いたくない。




山崎の傷口に両手を翳し、パアーと白く輝く手が熱くなっていき、それとほぼ同時に腹部に痛みが広がる。



大丈夫!
私の傷は直ぐに治るんだから耐えるんだ!


「ぐっ…ううっ…」


熱い!痛い!痛い!


こんな痛みを感じている山崎を誰も助けてくれなかったなんて。


「私が助け…ますからっ…だから死なないでっ!」





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