駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
翌朝目を覚ました矢央は永倉の姿がないことに不安に駆られ釜屋中を捜して回る。
その途中に島田に出会い永倉の居場所を聞いた。
「永倉さんでしたら、今は会議中のはずですよ」
なんだ会議に出ていていなかったのか。
ホッと胸を撫で下ろし、会議がされている部屋の傍の縁側に腰を下ろし待っていると、会議が終わったのかぞろぞろと人が出てきた。
気配を感じ顔を上げて、永倉の姿を捜す。
あ、いた!!
斉藤と話しながら廊下に出てきた永倉に駆け寄り「おはようございます!」と声をかける。
「お!?ああ、矢央起きたのか。おはよう。相変わらず酷い寝癖だな」
「…おはよう。これが噂の鳥の巣頭か」
「……噂ってなんですか斉藤さん」
「京にいた頃、沖田と藤堂が言っていたが、俺は一度も見たことがなかったからな。悪く思うな」
戦場の中にいても、こうして和める時間は大切だと思った。
永倉も斉藤も、矢央がいるおかげで心が救われる。
「では俺は此処で失礼する。間島、永倉さんの姿がなかったからといって、身なりを整えずに出歩くのは関心せぬ。少しは女子らしくしろ」
あちこちはねた髪を必死に整えている矢央に厳しく注意はするものの、その顔は怒っているわけではないと分かる。
なので怯えることもなく素直に「以後気をつけまーす」と返事すれば、「伸ばすな」と今度は眉間に皺を寄せて怒られてしまい肩をすくめた。