駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
しかしそれは、直ぐに哀しげなものに変わった。
お華は矢央に話すべきか悩んでいた。
これから新選組が辿る運命を。
そしてお華だから分かる矢央の苦悩。
永倉のことを好きでも、永倉のこれからを想って告げられずにいたことも。
傍にはいられなくても、ずっと見守ってきた。
自分が巻き込んだ矢央の生き様を、お華もまた遠くから見続けようとしていた。
だからこそ迷う。
彼女は知ったらどうするのだろうか、と。
「大丈夫だよ」
「ーーーえ?」
「お華さん言ってたでしょう?これから新選組が辿る道は険しいって。だから、お華さんは心配してくれてるんだよね」
心配、責任、負い目。
なんとなくお華の気持ちは分かる。
成仏しても、たまにこうして心の中で語りかけてくれる少女の気持ち。
新選組を最後まで見守りたいと強く願ったお華の想いを、今は矢央が引き継いでいる。
「最期まで見届けるよ、私は。どんなことになっても、また別れがあっても。辛いし悲しいけど、それが私の誠だから」
ーーーー矢央さん、貴女はなんて。
「お強くなられましたね。でしたらもう何も言いません」
お華は決意に満ちた瞳を矢央に向けていた。