駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
第六話*一年の終わり
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元治元年(1864)も、もう終わろうとしていた。
寝て起きれば、新しい年が明けているのだ。
そんな貴重な夜を、今年は新選組の仲間と過ごすことが出来る喜びに浸る者がいた。
「矢央ちゃん、なにニヤニヤしてんのさ?」
「え? ニヤニヤなんてしてないよぉ…えへへっ!」
「……ふぅん」
今日一日は仕事はしたくない!と言いはった藤堂は、久しぶりに矢央との時間を堪能するつもりでいる。
伊東を呼んだのは自分なのだが、それ故に忙しい。
京に来た当初は、毎日やることがなく稽古をしたり散歩をしたりで、暇な時間があったことが懐かしいくらいだ。
閉めきった部屋の中を火鉢でぬくぬくに暖め、畳の上で猫のように丸まる矢央を見て思わず笑いが込み上げる。
あ〜安らぐなぁ。
「ねぇねぇ平助さん。 今日はね、土方さんがみんなを広間に集めてくれって言ってたんだよ!」
ムクッと上半身だけ起き上がらせ、肘杖をし掌に顎を乗せると藤堂を見上げた。
満面の笑みを浮かべる矢央に、藤堂は内心首を傾げる。
「…それって会合じゃないの?」
「違うんです! だって土方さん"古株"だけを集めてくれって言ってたもん」
藤堂は目を見開いた。
土方の言う"古株"とは、つまり――――
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