駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
第九話*ありがとう。
ゆっくりと瞼を開けて、見慣れた天井を見つめ今日も生きていることを確認する。
喉の奥が焼けるように熱く、押し上げてくる感覚。
「ゴホッゴホッ…ぐっがはっ!!」
掌に収まりきらない赤、赤、赤。
ツツッと額から顎にかけて冷や汗が流れ落ちる度に、自分の命が削られていくようだ。
咳が治まり、雪崩れ込むように布団に倒れ込む。
そろそろ矢央がやってくるだろう。
その前にこの血をどうにかしないと……と思うのにもう身体はいうことを聞いてはくれない。
「…近藤さん、会いたい…なあ…」
サラッと風が髪を撫でたような気がした。
まだ矢央が来てないから戸は閉まってるのに何故?気のせいか。
「ああ、そっか…。そういうことですか…」
沖田の閉じられたら目尻から一筋の涙が頬を伝って落ちた。