駆け抜けた少女ー二幕ー【完】
ふと視線を感じた沖田は、隣を見てニコッと微笑む。
「少し昔話でもしましょうか」
と、前置きした沖田は腰を上げると子供たちを集めた。
冬は日が暮れるのが早い。だから今日はお開きにして、家におかえりと子供たちの頭を撫でる沖田は、どう見ても人斬りと恐れられる人間とは思えない。
と、言っても最近は病に伏せることもあって、あまり巡察に出ることはなくなったが。
「沖田さんって、ほんと子供に好かれてますね」
まだ遊びたいとただをこねる子供たちを上手く言いくるめ、ようやく戻って来た沖田。
またねー! と、叫ぶ子供達に二人で手を振って見送った。
「あの子達と最初に遊んであげていたのは山南さんなんですよ。 そこへ混ぜてもらっているんです、私はね」
そう言われてみれば、まだ芹沢が生きていた頃、何度か芹沢の散歩に付き合い壬生寺に来たことがある。
その時には、山南も子供達と一緒に遊んでいた。
「人の面倒を見るのが好きな人なんです。 誰もが嫌がることでも引き受けずにはいられない、そんな損な性格なんですよ」
もう一度、矢央の隣に腰を下ろした沖田。
彼の言葉を聞いて、あることに気付いた矢央は、立てた人差し指を沖田に向けた。
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