alternativeⅡ
「あぅっ!」

床に薙ぎ倒される妃。

彼女は軍に所属しているとはいえ、知っての通り武道に関しては素人同然だ。

当然ルシファーの平手打ちをかわせる筈もなく、まともに食らってしまった。

そんな彼女に圧し掛かるルシファー。

彼は両手で妃の白く細い首を掴み、渾身の力を込めて締め上げる!

「あぐっ!…うぐぐっ…うぐう!」

気道を押し潰さんばかりの握力。

妃は足をジタバタと動かし、その苦しさを表現する。

「あんた馬鹿かい?」

完全に正気を失った眼だった。

ルシファーは妃の体に馬乗りになったまま、イッた目付きで彼女を絞首し続ける。

「僕の前でそんなカミングアウトするとはね…とんだ自殺志願者だよ!ほら、こうして絞め殺されるのがお望みかい?ほら!ほらぁっ!」

ルシファーの握力ならば、妃の細首をへし折る事など造作もない。

しかし彼は敢えてそれをしなかった。

AOK臓器移植実験によって常人とはかけ離れてしまった己の肉体。

その元凶を生み出した女を、どうして楽に殺してやれようか。

気が済むまで、嬲り、苦しませ、ありとあらゆる苦痛をその身に刻み込んでやるつもりでいた。

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