alternativeⅡ
「ならばちょうどいい」

マーガレットが背にした練武場の壁に、愛刀を鞘のまま立てかけ、アレクセイは再び元の位置へと戻って彼女と対峙した。

「少し私の鍛錬に付き合ってはもらえないか。剣術の訓練をしたい」

「は?」

キョトンとするマーガレット。

剣術といっても…先程軍刀を壁に立てかけたばかりではないか。

剣術の訓練に軍刀を握らないでどうするのか。

しきりに首を傾げるマーガレットに。

「例えばだ」

アレクセイは説明し始める。

「AOKとの戦闘中、手にした軍刀を弾かれてしまったとする。丸腰だ。私は何としても軍刀を再び拾い、AOKにやられる前に一撃を加えなければならない」

「……」

マーガレットは絶句する。

仏頂面していると思ったら、彼はそんな不利な状況を想定しての対処の方法を考えていたのだ。

「常に自分が有利な状況で戦えるとは限らないからな」

アレクセイは僅かに腰を落として構えた。

「始めよう。マーガレット軍曹もナイフを抜いて構わないぞ」

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