alternativeⅡ
言ったきり、マーガレットとアレクセイの間に会話はなくなった。

困惑したのはマーガレットだ。

彼女とて来年にはデルタフォースの入隊試験を受けようかという強者だ。

おいそれと敗北を喫するほど弱くはない。

目の前のアレクセイは丸腰。

彼の軍刀はマーガレットの背後にある。

軍刀を手にするには、まずマーガレットを突破しなければならない。

しかしマーガレットは。

「……」

遠慮なくサバイバルナイフを抜いた。

手を抜けば、逆にアレクセイに叱責を受ける。

こういう事に対して、彼は妥協を許さない。

真面目で頑固で融通のきかない堅物。

先輩としては堅苦しいし説教臭いし、はっきり言って嫌いだ。

だが人間的に、彼のそういうストイックな面には好感が持てる。

…特に合図はしない。

掛け声も何もなく。

「っ!」

マーガレットは闇に乗じてフェイントを入れつつ、アレクセイに襲い掛かった!

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