alternativeⅡ
ポタポタと、ナイフの切っ先から滴るものがあった。

血。

アレクセイの顎の下が微かに切れている。

普通、訓練で本物のナイフなど使わない。

初めてアレクセイの訓練に付き合わされた時は、マーガレットの方が萎縮して動けなかったものだ。

「……」

チラリとアレクセイの顔を見るマーガレット。

アレクセイは静かに首を横に振る。

訓練続行。

この程度の傷など傷のうちに入らないという事か。

その狂気じみたストイックさに、時折戦慄すら感じつつ。

「…!」

足場をしっかりと踏み締め、第二撃目を繰り出そうとした時だった。

< 28 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop